この記事の目次
1.はじめに
「エアコンを入れても全然涼しくならない」
「年々暑さが増している気がする…」
そんな現場の声が増えてきています。前回の記事では、工場が暑くなる原因として、「換気不足」「空間の広さ」「輻射熱」という3つの要因を紹介しました。
今回は、それぞれの原因に対してどんな対策が考えられるのかを整理し、本当に効果のある暑さ対策のポイントをわかりやすくお伝えします。
2-1.原因①:不十分な換気への対策
まずは、「熱や湿気がこもる」ことが暑さの一因になっているケースです。
これは、換気設備の見直しで改善できることがあります。
・有圧換気扇による強力な換気で、熱気や湿気を排出する
・エアー搬送ファンにより、新鮮で冷たい空気を空間全体に送り届ける
2-2.原因②:広い空間への対策
次に、工場特有の「広さ」や「天井の高さ」による冷房効率の低下。
この問題には、冷気を必要な場所に届ける工夫が効果的です。
・スポットクーラーの設置・配置見直し(作業エリア集中型)
・サーキュレーターで冷気を循環させる
・空調効率を高める天井ファン(シーリングファン)の導入
空間全体を無理に冷やそうとせず、「作業者がいる場所を重点的に冷やす」という考え方に切り替えるだけでも、効果とコストのバランスが取れるようになります。

2-3.原因③:輻射熱への対策
屋根や外壁が太陽で熱せられ、そこから輻射熱(電磁波)として室内に熱が放出される。これが工場の体感温度を大きく上げる重大な要因であることは、前回の記事でも触れました。
この熱は空気を介さず、人や機械に直接伝わるため、冷房では防げません。
そしてこの輻射熱対策に最も効果的なのが、「遮熱シート」です。

👉遮熱シートって何?
遮熱シートとは、太陽からの熱線(輻射熱)を反射する高純度のアルミ箔でできたシートです。
主に屋根や外壁の内側に貼り付けて使い、熱を跳ね返す“バリア”のような役割を果たします。
中でも、高性能な製品では反射率が99%というものもあり、輻射熱による室内温度の上昇を大きく抑えられます。
👉なぜ“遮熱”が重要なのか?
輻射熱は空気を冷やしても防げないため、空調では根本的な解決になりません。だからこそ、「熱を入れない」=熱を反射・遮断する遮熱シートが効果を発揮します。
遮熱シートの導入によって、室内の温度上昇を抑えられる、エアコンの効きが良くなる、電気代が削減できる、設備にかかる負荷も軽減できるなど、多くのメリットが得られます。
👉施工の注意点は?
遮熱シートは、製品選びと施工技術が命です。
「貼ればOK」ではなく、現場の環境に合わせた正確な施工が重要です。実績のある専門業者に相談することをおすすめします。
3.暑さ対策の基本は「熱を入れないこと」
工場の暑さ対策というと、つい「どう冷やすか」にばかり目が向いてしまいがちですが、実は最も効果的なのは「どうやって熱を入れないか」という視点です。
冷やす努力だけでは、工場の暑さは解決できません。
特に輻射熱への対策を怠ると、どれだけ空気を冷やしても体感温度は下がらず、エネルギーも無駄になってしまいます。
「なぜか涼しくならない」と感じている方こそ、遮熱対策をおすすめします。
4.おわりに
今回は、工場が暑くなる3つの原因に対応した具体的な対策を紹介しました。
中でも輻射熱対策は、暑さ対策の“本丸”とも言える重要なポイントです。
この夏を快適に乗り越えるためにも、“冷やす前に、まず熱を入れない”という発想で、対策を見直してみてください。